国土交通省の最新調査で見えてきた“地域格差”とこれからの働き方
新型コロナの影響で急速に広がった「テレワーク」。
2020年にはあらゆる企業が導入を迫られ、“時代が変わった”と感じた人も多かったはずです。
では、2024年の今。
マスクを外した社会で、果たしてテレワークは本当に定着したのでしょうか?
首都圏では「経験者37.5%」と高水準を維持
国土交通省が2023年10月に実施した「テレワーク人口実態調査」によると、
首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)のテレワーカー経験者は**37.5%**にのぼりました。
これは2021年度のピーク時(42.3%)からはやや低下していますが、
コロナ前(約22%)と比べれば15ポイント以上高い水準を保っているのが現状です。
地方では2割を切る地域も──「地域格差」が浮き彫りに
全国平均のテレワーク経験率は24.6%。
首都圏と比較すると、地方との格差が顕著に現れています。
地域 | テレワーク経験率(2023年10月) |
---|---|
首都圏(1都3県) | 37.5% |
近畿圏(京阪神) | 約31.6% |
中京圏(名古屋周辺) | 約28.0% |
地方都市圏(その他) | 約19.1% |
全国平均 | 24.6% |
都市部ではテレワークが“あたりまえの選択肢”として残った一方で、
地方では「やったことがない」「職場が対応していない」という声も根強いようです。
なぜ「定着した」と言えるのか?
✅ 1. コロナ後も水準が維持されている
2023年5月に新型コロナが「5類」へ移行してからも、経験率は大きく下がっていません。
✅ 2. ハイブリッド勤務が常態化
完全リモートから、「週1〜2回は出社」という柔軟な勤務スタイルへ移行。
平均的なテレワーク実施日数は週2.1日と報告されています。
✅ 3. 国・自治体が推進を継続中
都市の人口集中対策、子育て・介護との両立支援の一環として、
テレワーク導入支援策は今も継続されています。
「制度があるかどうかで、人生は変わる」
テレワークは、もはや一部のIT企業だけの特権ではありません。
けれど、制度がある企業と、ない企業では“人生の選択肢”が大きく変わるのも事実です。
たとえば、通勤がないことで:
- 子どもを学校に送り出してから仕事ができる
- 家族の介護をしながら働ける
- 雨の日に、満員電車に乗らなくて済む
こんな“当たり前の自由”が叶うのです。
締め:テレワークは「働き方改革」ではなく、「暮らし方の再設計」へ
コロナ禍が終わっても、すべてが元に戻ったわけではありません。
むしろ、**「何を戻さずに済ませるか」**が問われている時代です。
テレワークは、完全に当たり前になることはないかもしれない。
けれど、確実に「選べる働き方」として社会に根づきはじめています。
そしてそれは、働く人の数だけ違う「暮らし」を支える、新しいインフラのような存在になりつつあるのです。
📎 出典・参考資料:
- 国土交通省「テレワーク人口実態調査(令和5年度)」
https://www.mlit.go.jp/policy/telework/